以前、事業活動において資金が重要なとなる理由を「事業を継続させるための資金」に記載しました。
資金を増やすには税引後利益を増やす必要がありますが、税引後利益の額がそのまま資金の額にはなりません。
利益と資金が一致しない理由にはいくつかありますが、代表的なものとしては費用収益対応の原則や非現金支出費用、発生主義・実現主義が挙げられます。
費用収益対応の原則
たとえば商品(@100円)を10個仕入れて1千円支払ったとします。
このうち3個が売れた場合、費用となるのは商品3個分の300円です。
資金は1千円減っていますが、費用となるのは300円だけで、残り700円分は資産となります。
このように、必要となるのは支払った分のうち売れた分だけという決まりがあるので、利益と資金は一致しません。
非現金支出費用
費用の中には、減価償却費のように資金の支出を伴わないものがあります。
資金は減りませんが費用にはなる。すると、利益と資金は一致しません。
発生主義・実現主義
当月分の家賃を翌月に支払う場合、資金が減るのは翌月ですが、費用は当月に計上されます(発生主義)。
当月に販売した商品の代金が翌月に入金される場合、資金が増えるのは翌月ですが、収益は当月に計上されます(実現主義)。
このように、費用の発生や収益の実現と実際の出金・入金がズレる場合、利益と資金は一致しません。
利益と資金は一致しないことが多いので、どちらも試算表や資金繰り表で管理しておく必要があります。