先日、ある方から「中小企業診断士に登録するためにはどうすればよいですか?」と尋ねられました。
2016年の日経新聞の記事では取得したい資格の1位になってますね。
中小企業診断士とは、中小企業支援法という法律で「中小企業の経営診断の業務に従事する者」として登録されている人のことをいいます。
第十一条 経済産業大臣は、中小企業者がその経営資源に関し適切な経営の診断及び経営に関する助言(以下単に「経営診断」という。)を受ける機会を確保するため、登録簿を備え、中小企業の経営診断の業務に従事する者であつて次の各号のいずれかに該当するものに関する事項を登録する。
一 次条第一項の試験に合格し、かつ、経済産業省令で定める実務の経験その他の条件に適合する者
二 前号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者で、経済産業省令で定めるもの
2 前項の規定により登録すべき事項及びその登録の手続は、経済産業省令で定める。
上記の経済産業省令が「中小企業診断士の登録等及び試験に関する規則」になり、この中で具体的な登録の条件等が定められています。
中小企業診断士の名称
中小企業支援法の中には名称の使用制限に関する規定がありません。税理士や社労士はそれぞれの根拠法の中で名称の使用制限に関する規定があり、登録された者でなければ名乗ることができませんが、中小企業支援法にはそれがありませんので登録されている者でなくても中小企業診断士と名乗ることができそうです。
税理士法 第五十三条
税理士でない者は、税理士若しくは税理士事務所又はこれらに類似する名称を用いてはならない。
社会保険労務士法 第二十六条
社会保険労務士でない者は、社会保険労務士又はこれに類似する名称を用いてはならない。
ただ、中小企業庁のホームページに掲載されている「中小企業診断士制度のQ&A集」には、中小企業診断士の登録が消除されるとそれ以降は名乗ったり名刺や履歴書に記載することができなくなるというような記載があるので、実質的には登録されている者でないと中小企業診断士と名乗ることはできないという理解でよいかと思われます。
中小企業診断士の業務
また、中小企業支援法の中には業務の制限に関する規定もありません。税理士や社労士はそれぞれの根拠法の中で業務の制限に関する規定があり、税理士や社労士でないと行うことができない業務がありますが、中小企業支援法にはそれがありませんので中小企業診断士でないと行うことができない業務というものはありません。
税理賞 第五十二条
税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。
社会保険労務士法 第二十七条
社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務を業として行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限りでない。
中小企業診断士の年齢
一般社団法人中小企業診断協会が実施したアンケートによると、50歳代の中小企業診断士が最も多く全体の約3割を占めています。
中小企業診断士の登録
中小企業診断士の資格取得を目指す人は多いようですし、銀行など金融機関に勤める人の中には中小企業診断士の資格を持っている人は数多くいます。ちなみに三重県中小企業診断士協会には約100名の中小企業診断士が会員登録しているようです。
中小企業診断士の登録までの流れは、上記の図(日刊新聞から引用)がわかりやすいです。
まずは7科目(経済学・経済政策、財務・会計、企業経営理論、運営管理、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・政策)ある1次試験に合格するために幅広い知識の習得が求められます。
1次試験合格後は、4科目(組織・人事、マーケティング、生産・技術、財務・会計)ある2次試験に合格して実務補習を受講するか養成課程を受講修了する必要があります。
私は2次試験合格ですが、東海圏では愛知県に登録養成機関が3つもあることから、養成課程を受講修了して中小企業診断士に登録される方も多いですね。
一方で、中小企業診断士に登録したからといって税理士や社会保険労務士等の他の士業のように法律で定められた独占業務(中小企業診断士でなければできない仕事)というものはありませんので、登録しても独立する人は少ないようです。
三重県で活動する中小企業診断士
私は中小企業診断士の資格を取得する前から独立して現在の仕事(経営支援業務)を行っており、仕事の奥行きと幅を広げるという趣旨から資格を取得しました。
中小企業診断士という資格が一番役に立っている点は、国家資格ということもあり一定程度の信用が担保されていると周囲に受け取ってもらえるところです。
自称コンサルタントほど怪しいものはないと思っていますので、その点では中小企業診断士という資格をアイコンとして大いに活用させていただいています(もちろん中小企業診断士だからといってすべての人が信用できるかといえばそれは別問題ですが)。
いくつか国家資格を有していますが、その中でも中小企業診断士に最も愛着を感じています。これからも中小企業診断士の資格を活用しながら少しでも多くの方のお役に立てれば幸いです。